マブラヴはタイトルテーマを描けなかった

マブラヴというタイトル。
これはマブなラヴ、真の愛を意味しているという。
君が望む永遠(以下君のぞ)とマブラヴのクロスオーバー短編「君が望む真愛」もあることから正しいのだろう。
(元々君のぞとマブラヴは同じ世界なのでクロスオーバーというのも変な話だが)

 

かつて製作総指揮の吉宗鋼紀氏は「マブラヴというタイトルは音の響きだけでつけたので意味は無い」と言っていた記憶があるのだが、近年では上記の真愛という意味だと語っている。

 

真愛、ただの愛ではなく真の愛。
それを描くのがテーマであるなら、マブラヴ(以下無印)はそのテーマまで到達できていないだろう。
これには複雑な事情が絡んでくる。
元々無印とマブラヴオルタネイティヴ(以下オルタ)はひとつの作品として構想されていたという。
無印からオルタまでの一連の物語は、真の愛というテーマを感動的に描き出している。
しかし分割されたことで、そのテーマはオルタまでお預けにされてしまった。
もちろん無印もそれ単体で十分に良い作品ではある。
しかし、マブラヴの前にアージュから発売された君のぞが強烈な印象を残した問題作であったことから、そのメーカーの真の愛というタイトルを掲げた新作が普通の良作では期待値に届いたとは言えないだろう。
また、「マブラヴ」「マブラヴオルタネイティヴ」というタイトルも誤解を招く。
内容に関する前知識が無ければ、無印が完結しているマブラヴ本編で、オルタが外伝であると受け取られかねない。
つまり一見本編である無印ではテーマは描かれず、一見外伝であるオルタに到達することでようやくそのテーマを受け取ることが出来る。

 

宣伝などの戦略を無視して内容に即したタイトルにするなら、「マブラヴ上巻、下巻」「マブラヴプロローグ、マブラヴ
」等、2本で一つの物語だと示すか、オルタの方が本質であることを示す形が適切だった。

 


こういったことからプレイした人は他人に薦める際に、印象による誤解を避けるために「無印とオルタで1つの物語」「オルタまでが本編」としつこく言うことになる。
もし無印だけやってオルタを未プレイという人がいるのなら考慮してほしい。
アンリミテッドからの世界観自体が受け付けないというのなら仕方がないが、アンリミまでの物語でスッキリしなかったという理由でオルタもダメだろうと考えてるのなら間違いなのだ。
それはテーマを描くところまで到達していないことが原因なのかもしれないのだから。