マルドゥック・スクランブル 圧縮/燃焼/排気

アニメ→原作の順に視聴。


どちらも主人公がバロットというのは変わらないが、アニメでは尺の都合などでバロットのモノローグなどの心情描写が少ないせいなのか、
バロット一人というよりバロット:ウフコック:ボイルドの3人の関係性そのものが中心と感じた。


当然原作でもその関係が重要ではあるが、バロットの視点で語られることであくまでもバロットが中心という点は動かない。
したがってアニメ版は「3人の関係が清算される物語」と感じたのに対し、原作は「バロットが再生する物語」であった。

 

読解力ガバガバなのでアニメでは気付けなかったが、原作での「シェル(殻)」「ウフコック(煮え切らないやつ)」「法務局(ブロイラーハウス
)」といったルビを見てようやく全てが卵に関連してると認識できた。

 

アニメでは絵的な栄えからアクションシーンが前面に出ている印象だが、原作を読むと最も力を入れている勝負のシーンはカジノだなと感じた。
実際全体から見てもかなりの割合をカジノシーンに割いている。
事件担当者であるドクターやウフコック以外でバロットを理解してくれる人物のうち二人がカジノで登場するという点から重要性が解る。
(他の理解者は楽園の住人であり、俗世界では他に居ない)

 

あとがきにて、この物語は「レオン 完全版」を観た夜に書き始めたとあり、なるほどこの物語に流れる雰囲気はそれかと得心したw
オイレンシュピーゲルのコミカライズは読んだことがあったが、冲方丁の小説を読むのは初めてであり予想とは違う面白さがあり十分楽しめた。
マルドゥックシリーズは小説で続編があるようなので、そちらも機会があれば手にしたいと思う。