「実は飛行機が何故飛ぶのか解っていない」というデマ

「実は飛行機が何故飛ぶのか解っていない」というデマを信じてしまっている人をネットでもよく見かける。
このデマには2つの側面がある。
記述のトリックと読む側の心理である。

まず記述トリックから。
まあトリックと言っても大した事はなく、単に「どの部分を指しているのかはっきりさせない」ことで、読む側が勝手に解釈してしまうということだ。
飛行機が飛ぶ仕組みとしては航空力学が代表的なものであるが、これは完全に理論として確立されている。
また航空力学を考える上で基礎となる流体力学(空気力学)もあるがこれも同様である。
では「実は飛行機が何故飛ぶのか解っていない」が完全に嘘かと言われれば、それがどの部分を指しているのか明記していないせいで、論理的に考える人であるほど完全に嘘とは言い切れなくなってしまう。
空気は分子の集合である。その分子は原子からなり、原子は素粒子からなり、素粒子は何からできているかいくつかの仮説がある。
つまりそこまで分解することで「空気について根本は解っていない」ことになり、空気力学や航空力学も解っていないとも言える。
重力の根本が解明できていないことから、重力によって車輪が地面に接地してることで走れる自動車を「人類は、何故自動車が走れるのか解っていない」と言えるのと同じである。

次に読む側の心理について。
多くの人は、自分が解らない事柄があった場合、周りの人間も同様に解らないという状態で安心するという心理がある。
学校のテストで解らない問題があった際に、テスト後に級友も解らなかったという話をしたら「やっぱりそうだよね!」と安心するアレである。
だから、自分が「航空力学とか解らないから飛行機が何故飛ぶのか知らない」ときに、
「実は皆解ってない」と聞かされたら、深く考える前に安心感から信じてしまう人が出てくるのである。

この2つの要素(2段階の要素)によって、自分自身にとって心地よい情報が出た際に「いやちょっと待てよ」と立ち止まって深く考えることができないタイプの人々がこぞって拡散しているのである。
イデオロギーが絡んでいないだけで、SNSで多く見かける「自分たちのグループに有利な情報は精査せずに拡散している」人たちと性質はかわらない。