地球の放課後/吉富昭仁

チャンピオンRED 全6巻

 

“ファントム”という謎の存在に人間が消されていった世界。
少年と3人の少女、たった4人の生存者の、「まるで放課後みたい」という感覚の悲壮感を感じないサバイバル生活。

 

終末世界でのまったりサバイバルを描きつつ、端々にかつて生存していた人達が記録した映像や生活の跡などの形で、人類消失の様を見せ付ける。
作品としてはそのまま「終わらない毎日」を描くだけに終始しても近年ではよくあるパターンとして楽しめるものだったが、素晴らしい伏線回収と大団円を見せてくれた。
結末としては、人類は消えたり移動したのではなく「先に進んだ」のであり、正史が何度も言う「消えた人たちもきっと戻ってくる」というのが読者をミスリードに導く引っ掛けであった。


正志たち4人は、消えた人が戻ってくるのを待つのではなく「置いていかれていた」ので、「追いかける」ことが解決となるのである。
全てを明かした後、将来に問題を残さないため消えようとする未来の4人を正志が身体を張って止める結末は、ともすれば犠牲の上にたどり着く苦さを含んだハッピーエンドでも作品としては充分なレベルだったのだが、犠牲の上に築かれた幸せではない心からのハッピーエンドで安らかな読後感を与えてくれた。

 

1クールのアニメとして観てみたい。